コロナ療養記5日目(最終日)


日も昇らないうちから退所準備を開始しました。

シーツ、枕カバーは外して部屋の前に、部屋は一切のごみを残さないこと、と言われています。

ホテルで出たごみは回収してくれますが、瓶や缶は引き取れないのでご自宅まで持ち帰らなければいけません。滞在中に酒盛りをし、缶や瓶をこっそり置いていくやつとかがいるのかもしれません。

勝手に入所者の顔を思い浮かべ、「アイツとかやりそうだな」とか思ってしまいます。

まだ手洗い、歯磨きが残っているのでタオルと歯ブラシは残しておきます。

あまったコーヒーと紙コップを持って帰るらないよう、最後のコーヒーブレークしながら事務局から電話を待ちます。

朝食の時間になり、食事をとりに行きました。出遅れたので長蛇の列。入所者が入れ替わったのか、普段見ない顔が多くいました。

印象的なのは片手に5歳くらいの男の子の手を引き、片手に2歳くらいの女の子をかかえているお母さん。大変そうです。

旦那から追い出されたのか、あるいは実家暮らしのシンママか、などと想像を巡らせます。

16Fに戻り、お弁当の中身も確認しないまま、電子レンジの40秒チャージ。開けてみたらサンドイッチ2個だけで、ほっかほかの湯気が出ていました。

食べ終わり、最後の支度をしていると電話が鳴り、「退所が決定しました」「お世話になりました。ところで髭剃りは捨てていいのですか?」

「あ、いいです、こういう言い方もなんですが、感染者がつかったものですから、どうせ焼却するんで」

確かに言い方がナンだな、なと思いました。

10:00ころ、荷物をまとめて下に。 食事の時間ではないので、部屋の外に出ているのは退所者だけです。

10人くらいの列ができていました。ボールペン、酸素をはかるオキシメータ、部屋の鍵を提出し、厚生労働省のHer-sysの療養証明書に関する案内をもらってようやく出所。

ホテルを出たらいきなり長蛇の列があり、不届きものめ、このうえ横着してタクシーでご帰宅かよ、と思いきや、パチンコ屋の開店の行列でした。

「トーヨコプリズン」を振り返りつつ、帰宅しました。

電車には鼻マスクやノーマスクのつわものが1車両に2人はいました。

自分は会食せず、夜の街で遊ばず、マスク外さず、手洗いよくして電車の中ではなるべく座らないようにしていたのにどうして、との思いがぬぐえません。

感染源はバス旅行だと思います。後ろで咳をしているオヤジがいました。前の敵は気を付けていたけど、後ろから来るとは思わなかった、奈良県警と同じ言い訳・・・いや、結果がすべて。

途中、日本語ペラペラの中国人の同僚からTELかかってきました。いつもコロナの話題から入るのですが、こちらから、コロナでホテル療養していたことを告白しました。

「ウーさん(仮名)、僕みたいなやからは貴国だとどんな扱いをうけますか?」

「はい、強制隔離になります」

「罰を受けたり労働したりもしますか?」 

「それはありません。でも大変不便なことになるので、私も同僚もコロナはかかってないことになってます」と微妙な言い回し。

興味深いことに、中国では最近はワクチン接種についてうるさくいわなくなったとのことです。「だっていまのコロナには効かないから。」

さすがよくわかっています。

何はともあれ・・・コロナになったのは釈然としないのだけれども、自治体(東京都)には手厚く対応してもらい、医療従事者にも心強いサポートをいただき、ホテルのスタッフにも大変お世話になり、世の中のいろんな人によって生かされているんだ、そんなことを実感した10日間でした。 

家に帰り、10日ぶりのビールを開けました….苦い炭酸水みたい。飯も不味い。 味覚障害のようです。


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