3日目:茶臼山(2,384m) 縞枯山(2,403m) 北横岳(2,480m)
早く寝すぎたせいか、朝4時に起きてしまい、少し物音を立てたりしながら妻にプレッシャーをかけていきます。自分が起きると連れ合いにも起きてほしいと思うのが人の性(さが)というものです。
ご来光を見ながら6:00の朝食を待ち、出発しました。ジブリの世界のようなコケやキノコの森、歩きずらい岩、木の根もあるかと思えば、
ロープウエイの駅周りにはカフェがあったり、尾瀬のような湿地帯と歩行用の板などもあり。。。 いろんな顔をのぞかせるコースでした。
妻は「あなたのペースで行ってください、私はついていきますから」と言いますが、いつの間にか前に来ていることもしばしば。
「それならついていくから先に行ってよ」というと、「あんたの足を踏むようにアオリながらいくとちょうどいいのよ」と口答えをします。
結局追い抜かれ、かなり差が開いたときにズルズル―という音とともに、 「だ、大丈夫ですか」「あ、はーい、大丈夫でーす」とよそ行きの声。
歩みをすすめると、ちょうどおじさんとすれ違う時にコケてしまったらしいのです。声をかけてくれたおじさんは足元は登山の格好ですが、帽子はタイトリストとガチャガチャないでたち。妻は「やさしそうな人。ひろのみやさまみたい」というので、思わず直立不動になりそうになります。
ロープウエイの駅に行ったら、登山客以外も来ており、ワンピースにサンダルとかいろんな恰好の人がいました。そのまま登ってしまう人もいるらしく、布の手提げを肩にかけたスニーカーのJDなども登山に参加していました。「ここから先は登山用の装備が必要です」と警告の看板がでていましたが、意外とニューバランスで登っちゃう人がいます。
ここまでの登山コースでなんどか追いつき、追い越されていた、おひとりの女性がいました。山の装備がかっこよくて、我々のようなにわかではない、手練れ(てだれ)な印象の女性。
ピンと背筋を伸ばしていた彼女、ふたたび私達を抜かして颯爽と進んでいった先で道標につまづいてコケそうになっていました。それを見て妻がクスクス。
私も格好良い姿とぶざまに転びそうになっているさまを見てクスクス。 すると、帰り道、妻も同じところでつまづいて転びそうになりました。妻は今度は声を上げて「あーはははー」と笑っていました。
不思議なことがありました。山登りしながら、妻のことをディすると、その直後にかなりの確率でこけたり滑ったりするのです。もしかすると八ヶ岳の神様は悪い言葉とか、人のことをコケにしたりするやからには罰を与えるのかもしれません。
この日は欲張りすぎ、行程もかなり長いものになりました。かなりハイペースで行けているつもりが、最後の行程は予想外に長く、いけどもいけどもジャングルのような森。 ひょっとしたら道に迷っているのではないかとストレスが加わりました。
そのうち、私の方がバテてしまい、一生懸命歩いているつもりが、なかなか進まなくなりました。 妻まるで私を巻こうとしているかのようにさっさと行ってしまい、こちらも遅れまいとところどころ走ったりもするのですがどんどん差が広がっていきました。
追いついて何故さっさと行くのかと問いただしたところ、「(遅いから)いらついてもう待つのやめた」とのたまいます。登山のバディに対して、ひどいことをするものです。
どうにかこうにかレンタカーのある車に戻って来て、帰路につきました。
登山を始めて1年くらい。最初は妻の付き合いで嫌々始めました。初登山は真冬の高尾山で、もっこもこダウンにマフラーをぐるぐる巻きにしていったら50mくらいで滝のような汗がでて、マフラーを取ったらうっかり地面に落として落ち葉だらけになりキレそうになりました。
一歩一歩がとてつもなく重く、大変に感じられ、「いったいどこが頂上なんだ」と非難がましく妻に聞くと、「ああ、その角曲がったらすぐだよ」「全然つかないけど頂上は?」「いやだからそこ登ったらすぐだったと思うなあ」「さっきもそういったじゃないか、もう二度とこないぞ、山なんて!」
それが頂上で食べるごはんや下山後のビールが少しだけ楽しみになり、ときどき妻に付き合って登山するようになりました。キツイのはお断り、と駅から行ける低山以外はいかず、お金もかけたくないからと娘が塾に行くときに使っていたコールマンのリュックと普段着の組み合わせで登山をしていました。
そのうちに低山から眺める富士山もなかなかおつなものだ、と思うようになり、装備も徐々に本格化し、登山頻度が上がっていきました。
低山専門でこのままいく、と心に決めていたのに、駅から徒歩圏の低山はあらかた行き尽くし、猛暑の低山登山で熱中症気味になったのをきっかけに、そうか、高所での登山もいいかな、なんて思うようになりました。 ロープウエイで高いところに行って、高原を散策しようか、なんて不埒(ふらち)なことをかんがえていましたが、山人がいく八ヶ岳なんて・・・やっと自分も「登山やってます」と言えるようなレベルになったような気分です。
さて、これから妻と私の登山人生はどうなっていくんでしょうか?
登山の記録:中華製激安スマートウオッチMIWatchの記録
距離:7.85㎞ 時間:07:14:26 活動量:2250kcal 速度:1.08km/h 脈:114BPM 歩数:15443歩 積算上昇:735.2㎞ 積算下降:727.2㎞