コロナは自分には無縁と思っていました。
ところが新宿発のバスツアーに行ったあと、のどに違和感と熱が出ました。
抗原検査は2回とも陰性でしたが、念のため受けたPCRが陽性を示しました。
熱が下がり、新宿の歌舞伎町のTOHOシネマズの上のホテルで療養していたときの記録です。
東京都がホテル療養用のタクシーを迎えによこしてくれました。
後部座席に座ると、運転手との間はビニールシートで完全隔離。
掃除機のパイプのようなものがでて風が巡回しており、換気のために窓が開いているため、とても暑いです。
自分の名前が書いてある封筒を受け取り、窓越しの係員に見せると、ホテルのカードキーをもらえました。
ひとたび部屋に入ったら、外に出ることはゆるされません。ホテルの設備をチェックし、荷解きをして、夜を待ちました。
夜になり、初めての食事の提供がありました。館内アナウンスがあり、まずは奇数階の人達がよばれます。
奇数階の人が全員、部屋の中に戻ったのを確認したのちに、偶数階の人が呼ばれます。
もしもその時になってうっかり奇数階の人が部屋の外に居たりしたら、配膳を一旦全てストップするんだそうです。
私は偶数階の最上階ですがアナウンスからまもなくエレベーターホールに出るともう5-6名並んでいました。
間もなく10名余りになりました。実はこの瞬間を心待ちにしておりまして、コロナになる不届き者共は一体どんな人たちか観察してみかったのです。(自分は棚に上げて)
しかしそこにいたのはいたって普通の学生や会社員のような風情の人達でした。 エレベーターが来て、多くの人が乗り込むと一瞬だけ躊躇しましたが、いまさら密回避でもないだろうと乗り込みました。
階が下がるとさらに人が乗ってきました。 誰も一言も発せず、ときおり咳払いが聞こえるくらい。
これも今更飛沫が飛んだと騒いでも仕方ないから黙認です。みな、部屋着にサンダルみたいな格好。
ちょんまげやヒゲ、メガネに色が入ってる人、ピアスしてる男を見ると「居酒屋ハシゴかキャバクラだな」と勝手にステレオタイプにはめて内心ちょっとうれしくなります。
食事が用意してある、8階に着いたら箱を持っている人が結構いて、回収箱に捨てていました。昼に食べた弁当箱のようなので、私より先輩です。
ひとり貫禄のある人がいました。さしずめ牢名主というところでしょうか。
列に並び、弁当と飲料水をとり、速やかにエレベーターに向かいました。
エレベーターにはちょっとチャラそうな同年輩のオヤジ。 若作りして毛染めしてるけどこめかみの白髪がめだちます。話しかけるなオーラを出したにもお構いなしに、「あの、こちら長いんですか?」と話しかけられました。
「いえ先程来たばかり」「僕もなんですよ、勝手がわからなくて」ちょうどエレベーターがつき、「そうですかお大事に」と打ち切りました。
部屋に戻り、お弁当を開けました。贅沢を言ってはいけませんが油っこくて喉が渇きました。